●ここでは私が初めて起こした自損事故に付いて振り返ってみたいと思います
皆さんの中にも無理をして事故を起こした経験がある方もいらっしゃることでしょう
私の経験を参考に、自戒の念を込めて公開いたしますので読んで頂ければ幸いです

'93年1月、やってしまいました(大汗)

首都高目黒線荏原出口付近で単独クラッシュ〜全損

 事故の直前、前方をのろのろ走る車に腹を立てていたせいで、追い越した後無茶な速度で
 左コーナーに進入
 ブレーキが遅れ右前方の中央分離帯の接近にびびって大きめの蛇角を当てる
 結果、後輪から滑り出したあげくカウンターを当てるまもなく左側の壁に60度程の角度で
 激突! 衝撃で足元が浮きブレーキペダルから足が外れ、右の中央分離帯へ跳ね返っていき
 分離帯のロープ手前で自然停止 そのまま滑って行けば反対車線に出ていたかも知れなかった

 停止したところで頭が真っ白になっている 壊れてかかるわけもないのになぜかセルを回す
 気が動転している やってしまった・・・ 感覚が薄れている 音も匂いも感じない
 まだ携帯電話など無い時代なのでこの事故を報告するために非常電話を探そうと車外へ出る
 ハンドブレーキを引き、運転席ドアを開ける
 反対車線と隣の車線を見せ物を見るような目で通り過ぎるくるま
 周りのオフィスビルからは衝撃音に気付いた大量の野次馬の視線が降ってくる
 恥ずかしいやら情けないやら複雑な気持ちになる
 飛び散った破片が路面に散乱しているので取り除く
 通過する車からは「大丈夫か」等々次々に声を掛けられる



 ちょうど反対車線を通りかかった黄色い道路公団のパトカーに発見され、職員が走ってくる

 見てたぞー!!なにやってんだー!第一声である

 「あんなスピードで曲がれるわけねーだろー!!
 その通りである・・・「すみません・・・」この言葉しか出なかった
 発煙筒を焚き、交通整理を始める公団職員
 
「今、警察呼んだから! 体は大丈夫か?」
 「ベルトしてましたから平気です」
 
「そうか JAFには入ってるか?」
 「いいえ、まだ」
 
「とにかくレッカー呼ぶよ 一応救急車も呼ぼうか?」
 「いえ、体は大丈夫ですから」

 そんなやり取りをしているところに高速警察隊のパトカーがやってきた
 新富分駐所の警察官が2人降りてきて簡単な現場検証が始まる
 その間に漏れたオイルや破片の片づけが公団職員の手で進む
 もう一人の警官は交通整理をしている
 
「何キロぐらい出していた?」
 「たぶん○○○km/hくらいです」
 
「それで曲がれる程の技術が君にはあるのか?」
 「いえ、ありません」
 免許証を見せ、違反歴など聞かれたので無事故・無違反であることを伝える

 
「SDカード?こんなもんもってる資格ねーぞ!」
 もっともである 顔から火が出そうになる
 
 続いてくるまの辿った軌跡を調べはじめる
 
「君はどの辺でブレーキを踏んだ?」
 「あのあたりです」
 
「そこからここまで来て、そこに接触しているな?」
 
側壁に新しい黒いバンパープロテクターの痕が付いている
 
「そこからこっちへ跳ね返って、ほら、これが君のタイヤの痕だ」
 「このまま行けば反対車線に飛び出ていたぞ!そしたら大惨事だ!分かるか、あ〜?」

 「はい」
 
「速度違反は取り締まれないが、事故点数は付くぞ、いいな?」
 「わかりました」
 
「それじゃぁ、この紙をもってこの指定した日に出頭するように!」
 「はい」新富分駐署の連絡先をメモした紙を渡される
 
 JAFがやってきた 92がレッカーのクレーンに引っ掛けられて行く
 ぶちまけたパーツは92の車内に片付けられた 公団、警察の両パトカーは去って行く
 事故発生から1時間ほどだろうか、何事もなかったかのように交通の流れは復活した

 JAFの青白のトラックの中で会員登録をする しかし入会金の持ち合わせがない(汗)
 やむを得ず近く(五反田)の銀行へ寄ってもらい代金を支払う
 
 さて登録は済んだがくるまを預ける必要があるので、近くのトヨタ店に入る
 
事故車はだめ!と断られる 「結構冷たいですね」とJAFの人
 やむなくひとまわりして見つけた「トヨタオート店」(現ネッツトヨタ東京品川店)に入る
 
「お受けするのはよろしいですが、預かり料が日単位でかかりますよ」と女性店員さん
 そこで処理費
20000円他で引き受けてもらうことになった!助かった〜!
 ここでJAFの人と別れ、オート店の電話をお借りして保険会社と自宅に一報入れる

 「今事故やっちゃって、これから帰ります」
 
「え?くるまは?」女房の第一声である
 「多分全損だと思う 今、保険屋さんにも連絡したところ 体はなんともないし
 警察の取り調べも済んでるから、これから電車で帰るね」
 ここで両親も電話口に出てくる
 
「体は平気なのか?」
 「だから電話してるんだってば なんともないから帰ります」

 念のため帰宅後病院で検査するも異常なし
 次の日首が少し痛んだのと、肩にベルトのアザができていたくらいでなんともなかった


 数日後の午後新富分駐所へ出頭する
 小隊長さんに連れられロッカールームのような狭い聴取部屋へ入り当日の話になる
 どんな処分になるんだろう(不安)、すると
バン!と言う音と共に突然の停電!
 分駐署内は騒然となった!夕方前だったのでちょっと暗くなった程度だが、こちらの取り調べ
 が放っておかれた(汗)
 原因を調べに席を離れていた小隊長さんが戻ってきた
 
「今日は奥さんも一緒に来てるんでしょ もう奥さんを困らせるような運転するんじゃないぞ!
  いいかな?」

 「は、はい あの、処分はどのように?」
 
「今回はもうイイから、反則金の分で奥さんに美味しいもの食べさせてあげなさい」
 「はい?」
 
「じゃ、気を付けて!安全運転で帰ってください」
 
一礼して小隊長さんはどこかへ走り去ってしまう
 「い、いいのかなぁ?」
 女房
「いいんじゃないの ほら!美味しいもの食べさせてよ♪」
 なんだか停電のドサクサにまぎれて勘弁してもらったような・・・(笑)

 結局このあと女房と2人で夕食(美味しい?)を済ませて帰宅した
 
 後日、保険・廃車手続きなど諸々こなし、事故の後遺症などもなく無事解決
 いろいろとたくさんの方々に迷惑をかけてしまったが、私にとっては非常に貴重な経験となった



教訓
運転中は決して怒ってはいけない
ムッとしたら深呼吸3回!
楽しいことを考えよう!
そして、今日も家族が帰りを待っている!


芦ノ湖スカイラインの休憩スペースで偶然出くわした訓練中の神奈川県警らしい方々
ご覧頂いたらウインドウを閉じてくださいませ